その星、輝きません!
 う~ん

 何故だ?
 分からん……


「社長…… 私が何かいたしましたか? 先ほどから、社長の視線が痛いのですが……」


 秘書の山下が、後部座席の俺に向かって言った。気付かぬうちに、山下を睨んでいたようだ。

 この男のどかが凛々しいいんだ。しかも、カッコいいだと? 真面目なだけのつまらん男だ。


「ふんっ。俺は、社長だぞ。ここまで会社を起動にのせたのも俺だ。見た目だって悪くない、経済力だってある。それなのにどうして、お前に目が行くんだ?」


「社長、何の事でございましょう?」

「俺の何処が、お前に劣るのか教えろ」

「社長が私に劣る事なんて、何もございませんよ」

「じゃあ、何故?……」

 俺は、口をつぐんだ。

「何故とは?」
「何故とは?」

 山下と運転手が同時に答えた。運転手は、バックミラーで俺の顔をチラリと見た。

「もしかして、先日のアパートまで迎えに行ったり来たりした女性の事では……」

 運転手が、俺の顔色をうかがいながら控えめに言った。


「まるほど。女性の視点ですか?」

 山下が、分かったと言うように大きく頷いた。


「だったら何なんだ?」

「私に興味を持たれる女性は、男性を見る目のあるしっかりした方という事ですよ」

「はあ? どういう意味だ」


「どう見ても、真面目さと礼儀正しさ、そして誠実さが私にはあります。賢い女性は私を選ぶでしょう。反対に、社長を選ぶ女性は、明らかにルックスとお金です」


 運転手も大きく頷いている。


「そんな事を、誰が決めた! 山下、お前、失礼にもほどがあるぞ!」


「あくまで女性からの視点です。どなたか、私に興味を持たれた女性がいるのですか? 嬉しいですね?」

「違う‼」

 俺の拳は、今にも暴れ出しそうだ。


「そうですか? 残念。女性の心を掴むのは難しいものです。いくらでもご相談に乗りますよ。参考になるかと思いますが。誠実さが大事です」


「うるさい。俺には必要ない!」


 窓の外に目を向ける。しばらく、取り過ぎる街並みを見ていたが、段々と落ち着かなくなってきた。

 何なんだろうか、胸の奥のざわつきは?


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