その星、輝きません!
 離陸してから一時間ほど経っただろうか?

「ねえ? ところで、この飛行機は何処へ向かっているの?」

 食後のコーヒーを口にしながら、ずっと疑問に思っていたことを口にした。


「それを言っちゃつまらないだろ? 秘密だ」

「ええ?」

 行先も教えてもらえないなんて、拉致されたようなものだ。でも、こんな美味しい朝食も食べれたんだし、文句言っちゃいけないかな? でも、寒い所は嫌だな。



 そして数時間後、私は、真っ青な海を目の前にした、高級リゾートホテルとやらのロビーにいる。

「ここはどこ?」

「沖縄の離島だ。海外にしようと思ったが、パスポートが必要だからな」

「そ、そうだけど……」


 海からの湿った風が、南国に居る事を実感する。

「いくぞ」

 海風に浸っていると、後ろからの彼の声に振り向いた。ポーターに荷物を預けた彼が歩き出した。その後ろを私は急いで追いかけた。


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