その星、輝きません!
 地震のニュースを確認しては、時々伝えられる、日本人被害者の情報を祈るように確認した。

「鈴橋さん!私の友人がロスに居るんです。財布男じゃなくて一条さんの事を調べてもらったんですけど、日本人の犠牲者の名簿の中には名前はないそうです」


 作業療法士の水谷さんが、カウンセリングルームの中にノックもせずに入ってきた。

「本当に?」

「はい。だから、きっと連絡が取れずにいるだけです」

「ありがとう。わざわざ聞いてくれたの?」


「当たり前じゃないですか。私にはこれくらいしか出来ないので。被害は大きいみたいですが、だんだんとライフラインも復旧しているみたいですから」

 水谷さんの言葉に、やっと息を吸う事が出来た気がした。

 皆に心配かけないつもりでいたのに、知らず知らずのうちに皆に助けられていた。
 どんなに苦しくても、辛い事をわかってくれている人が周りにいる事が、こんなに心強いものだと知った。


 だけど、彼からの連絡が取れず、一週間が過ぎてしまった。
 
 彼に関する悪い情報もなかったが、依然として安否がわからない。このままずっとわからないんじゃないかと思えてきてしまう。


 もう、限界だった……


 日本に戻っているのなら、連絡があるはずだ。彼は、ロスに居るという事になる。

 ロスに行こう。


 アパートの駐車場に車を止めた。エンジンを切って、ドアを開けたと同時に、ポケットの中のスマホが振るえた。

 慌てて画面を見る。


 えっ……?
< 84 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop