その星、輝きません!
 クリニックの前に着いたのは、六時を少し回ったところだった。まだ、彼女は居るだろうか?

 シャッターは閉まっていなかった。急いで車から降りると、あのばあさんがドアを開けて出てきた。シャッターを下ろそうとしたようだ。

「あの!」

 慌てて声をかけた。
 チラリと俺を見て、ばあさんは悲鳴をあげた。

「うわーーーっ。あ、あんた!!」

「どうしなのよ、安子さん」

 クリニックの中から、彼女のかわりにカウンセリングした女性が出てきた。
 ばあさんが、指をさしている俺を見た。

「あああーーっ」

 二人が俺を指さし、口をパクパクさせている。
 なんなんだ、この人達の驚いた姿は?

「すみません、鈴橋さんはいらっしゃいますか?」

 何を驚いているか知らないが、とにかく彼女に合わせて欲しい。


「い、今帰った。まだ、駐車場にいると思うから、急いで!」


 二人のてんで我々に指示する駐車場の場所を、なんとか聞き取り車に乗り込んだ。


 すると、脇道から彼女の車が出てくるのが目に入った。俺は、そのまま彼女の車の後を追った。


 彼女が車を停めたのを見計って、スマホを手にした。

 一度のコールで、すぐに繋がった。

「もしもし」

 震えたような彼女の声に、体が勝手に彼女の元へと向かって歩き出していた。


 だが、次に彼女から飛び出た叫び声に、足が止まった。
 やばい、怒っているらしい。

 とにかく、連絡出来なかった状況を素早く伝えた。
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