その星、輝きません!
 「ええ! どうして、うちに泊まるのよ!」

 取り合えず、夕食を作ってくれることになった彼女のアパートの部屋のソファーに座っている。

「しょうがないだろ、慌てて来たんだから、宿泊先の予約なんてできなかったんだよ」

「そんなの、社長なんだから、どうにでもなるでしょ?」


「ああ。だから、ここに泊めてくれ。社長命令って事で……」


「はい?言ってることが無茶苦茶よ。だいたい、社長が泊まるような部屋も布団も用意できません」


 俺は、まくしたてる彼女の横に立って、大きなため息をついた。


「もう、社長って呼ぶのはやめてくれないか?」

「どうしてですか? 社長は社長でしょ?」

「そうだけど…… あんたにとって、俺は社長じゃないだろ?」

 彼女は首を傾げて、俺を見た。


「だから…… 俺たち、そういう関係になったって事だろ?」


「そういう関係?」


「おいおい、キスしてきたのは、そっちだからな…… 俺は、あんたの気持ちを受け取ったつもりだ」


 彼女の顔が、みるみるうちに真っ赤になった。


「なっ…… と、突然現れたから、普通の心情じゃなかっただけよ!」

「まあいい…… 逃げられると思うなよ」


 俺は、彼女を横目で見た。

「社長命令で、泊めろって言いましたけど、社長じゃないのなら、お泊めする必要はないですね?」

 彼女が、腕を組み勝ち誇ったように言った。


「じゃあ、彼氏命令って事で、よろしく」

 彼女の顔が、また赤くなった。

 俺は、彼女の頭をなでると、唇を当てた……

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