その星、輝きません!
 「お、おい!」

 彼が、慌てて立ち上がった。


「私が、我儘を言って中止したなんて思われるのは嫌ですから。披露をやめたいのなら、結婚も辞めましょう」


「ちょ、ちょっと待て!」


「社長、よく考えてみてください。星那さんを、皆さんの前に、社長の女である事を知らしめるのも、一つの手だと思いますよ。誰も、星那さんに手を出せなくなりますから」


 山下さんの口から、社長の女だと品のない言葉が出ると、なんだかイメージに合わない。

「山下さんまで、おかしな事を言わないで下さい」

 私の、腑に落ちない表情と反対に、彼の表情が変わった。


「そうか! 分かった、行くよ!」

 彼の声が、ぱっと明るくなった。単純というか、なんというか?

 私の横に並んだ彼を見上げる。


 本当に、見た目は最高な男だ。でも、内面は、我儘で大人気ない。でも、仕事は妥協しない。信頼される社長だ。

 これからもこんなやり取りを繰り返すのだろう。でも、こんな人を好きになってしまったのだから仕方ない。


 なんとか彼を説得し昼食に向かおうとすると、ドアがノックされた。
 山下さんがドアをあける。


「良太どうしたの?」

 開いたドアから入ってきたのは、スーツ姿の良太だった。


「あっ。姉ちゃんもいたのか。社長に挨拶に来ただけだ」


「挨拶?」
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