あなたと出会って世界が変わる
「ひなちゃん、これ」

朝陽くんの手には、美味しそうなケーキが沢山乗っているお皿


「いいの?」


「うん。僕のセレクト、絶対美味しいから食べて」


「ありがとう」

お皿を受け取り、空いている席に座る


ケーキを1口食べると、美味しさに頬が緩む


みんなも食べ物をとって、私が座っているテーブルへ向かって来る


甘いもの好きの私と朝陽くんはデザート


琉生くんと奏くんはパスタや寿司などご飯系


お兄さんの誕生日にこんな豪華なパーティがあるなんて凄いな


中央を見ていると、頼くんがこっちに向かって歩いて来るのが見える


隣には、頼くんに似ている人がいる


お兄さんかな?


「やっぱり、似てんな」

琉生くんの言葉に頷く


「久しぶり、頼のお友達さん」

頭を下げるみんなにつられて、私も頭を下げる


「あれ?去年よりも1人増えてるね。僕は頼の兄の立花有(ユウ)よろしくね」


「姫乃妃奈です」


「あぁ、俺の仲間」


「な〜んだ、彼女かと思った」


「ちげぇーつーの」

言い合いが兄弟らしくて、温かい気持ちになる


「ゆーう。あなたに会いたいと行ってる方がいるんだけど…っ。頼…来てたのね」


「母さん…」


「わりーかよ」

頼くんのお母さん…前に聞いたことがある
頼くんを放置してた…

「またそんな言葉遣い、恥ずかしいわ」


「母さん、来てくれたんだからそんな事言わないでよ」

2人の間に入る有さん


「あら、またあなた達来たの?毎年…知ってるのよ。暴走族なんでしょ?怖いわ。頼も立花の人間なんだから、そろそろ縁を切りなさい」


「あ?俺は仲間と縁切るくらいだったら、立花なんて名前捨てた方がマシだ」

頼くんの言葉に頼くんのお母さんは目を見開く


「母さん、やめてよ。それに、僕が頼んで毎年来てくれてるの」


ため息をつく頼くんのお母さんと目が合う


「あなた…もしかして、姫乃さんの娘さん?」


「は、はい。初めまして、姫乃妃奈です」

突然のことに驚きつつ頭を下げる


「あら、まぁ…頼の彼女さんだったりして?そうだと嬉しいわー。やっと、付き合う人を選べるようになったのかしら?」

さっきとはうってかわり、笑顔を見せる


「おい、やめろよ。ひなは大事な仲間だから、そーゆーんじゃねーよ」


「残念だわー。それに、姫乃さんも暴走族なんてダメよ。家の方の迷惑になるんだから。でも、姫乃さんならいつでも家に居らして、これからも仲良くしてあげてね。有はどうかしら?いい子なのよ〜」

頼くんよりも家の事の心配するなんて、それに


「あの…私は族を辞めるつもりはありません。立花さんが思っているよりもずっといい所なんです。昔、大好きな有さんに頼くんが会えなくなって、家には居場所がなくて、やっと見つけた頼くんの居場所なんです」


「ひな、いいから。何言っても、この人は変わんねーよ」


「ダメだよ。だって…だって、あんなに嬉しそうに有さんの話してた。でも、会えないからって、弱くても自分の力でここまで強くなったんだよ。なのに… お腹痛めて産んだ子供でしょ。普通の家に生まれたかったなんて子供に言わせないで…子供に親は選べないんです」

泣きながら言う私に、戸惑う頼くんのお母さん


「な、なにを…」


「母さん…呼んでる人いるんでしょ?先に行ってて」

パーティーに参加している人達の目線が私たちに向いている


有さんの気遣いで、私たちから離れる頼くんのお母さん


「姫乃さんもごめんね。分かってはいると思うんだけどね…1度溝ができると埋めるのは難しいんだよ。頼も、僕を好きでいてくれてありがとう、いつでも帰ってきなよ。昔より、僕も対抗できるようになったから」

それだけいうと、有さんも行ってしまった


「ひな、来て」

頼くんは私の手を引き、外へと連れていく
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