あなたと出会って世界が変わる
電車が最寄り駅に着き、降りる


倉庫までの道を歩いていると、女の子たちが前から歩いてくる


通り過ぎに、目が会い動揺する


けど…何も無かったように通り過ぎようとすると


「ちょっと待って、妃奈?」

その言葉に、私以外のみんなが止まる


気づかれたくなかった


小学生の頃の面影を残したあの子たち


私を虐めてた子たちだ


渋々、振り向くと


「やっぱり、妃奈じゃん」


「待って待って、蘭流の人達じゃない!?」

小声で話す子たち


「まーた、誑かしたの?」


「ほーら、妃奈って昔から男に囲まれてたからさ」


「やめて、みんなは私の大切な仲間なの」


「もしかして…君たちが昔、ひなを…」

奏くんが感づき、近寄ろうとするのを琉生くんが止める


「なにそれ?この子、性格悪いんですよ。だから、絶対騙されてますよ」

そう言って、みんなに話す


「妃奈じゃなくて、私たちと遊びませんか?」

その言葉に、頼くんも朝陽くんも眉をひそめる


琉生くんが奏くんを止めている手とは反対の手で私の肩をポンとたたくと

「大丈夫、俺たちはひなの味方だから」

その声に震えがおさまる


「わあ!蘭流の人達でも騙されるんだ〜」

前みたいに、みんなが私の敵になるわけじゃない、だって私には仲間がいる


強いみんながいるから


「む、昔、私があなた達に嫌な事をしてしまったのかもしれない…でも、あの頃の事。私は許さないし、謝らない…」


「はぁ?何なのよ。あの時だって、いきなり転校して、ただ逃げたくせに」


「おまえら…何も知らないくせに」

悔しそうに唇を噛む奏くん


「奏くん大丈夫…」

目が合うと、驚いた表情をする奏くん


「私はもう、あの頃みたいに逃げない。
強くなったの、蘭流のみんなと出会えたから。だから、私に何を行っても構わないけど、仲間の事悪く言うのは許せない」


「ねぇ、やばいよ。昔と変わってるって」


「ひな。私、やっぱりあんたが嫌い。だから、あんたに昔した事謝らない、でも、さっき言ったことは撤回する、ごめんなさい」


「うん。私もあなた達のこと嫌い。だから、謝罪も要らない。もう会いたくないから」

拳を握りしめる


「言うようになったね。もう、私も突っかかるのはやめる。さようなら」


「え?ちょっと待ってよ」

それだけ言うと、1人の子が去り、それを追いかける子達


姿が見えなくなって、安心して力が抜ける


「ひな?」


「ひなちゃん?」


「おい、大丈夫かよ」


「ふふっ、やっと言えた。言えたよ!」

笑顔でそう言うと


笑顔を返してくれるみんな


「頑張ったな。ひな」


「かっこよかったよ。ひな」


力が抜けて、立てない私を奏くんがおんぶしてくれて、倉庫に帰りついた


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