fate
もこもこに泡立ったバスタブで、後ろから抱きしめられた。
「在原さん、身体熱い……」
「そう?緊張して体温上がったのかなー」
耳に、首に、息がかかってくすぐったい。
「綺麗な身体」
「えっ…そんなこと……」
ちゅ、っと肩に口づけられる。
あたしも同じように、在原さんの腕に口づけた。
「石鹸の味がするー…」
苦さにイヤイヤと首を振っていると
在原さんが笑ったので、あたしも笑った。
このまま、人魚姫みたいに泡になって消えてしまってもいいよ。
のぼせていく頭の中で、そんな夢みたいなことを考えていた。
だって、今の状態でさえ、夢みたいでしょう?