fate

自分で言ったことなのに、イラッとして枕を殴った。

『はるかちゃんに看病してもらいたかったなー』


だから。
なんでまた、そんな風に言うのかな。
嬉しくなってしまう。

「寮のみんなにバレバレだよ。
行きたくても行けないよ…」


K支店の独身の人は、ほとんど寮に入ってるって聞いた。
そんなの、飛んで火に入る夏の虫、ってやつだよね。

『隣が梶川さんだしなー。
もし見られたりしたら大事件だね』

絶対行けません。
行きたいけど。



「てか、今年は祥子ちゃんちでクリスマスパーティーするんだよ♪」

実現できないことを話しても仕方が無いので、クリスマスの話題を出してみた。

在原さんは、彼女と過ごすのかな…?



『そうなんだ。いいなぁ…。
俺は支店の奴らと男だらけの飲み会だよー』

「彼女も仕事なの?」

『そうだよ』


少し安心して、ベッドに横になった。

でも、もう何年もクリスマスを一緒に過ごしている彼女のことを、うらやましく思ってしまう。

< 108 / 186 >

この作品をシェア

pagetop