fate
自分で言ったことなのに、イラッとして枕を殴った。
『はるかちゃんに看病してもらいたかったなー』
だから。
なんでまた、そんな風に言うのかな。
嬉しくなってしまう。
「寮のみんなにバレバレだよ。
行きたくても行けないよ…」
K支店の独身の人は、ほとんど寮に入ってるって聞いた。
そんなの、飛んで火に入る夏の虫、ってやつだよね。
『隣が梶川さんだしなー。
もし見られたりしたら大事件だね』
絶対行けません。
行きたいけど。
「てか、今年は祥子ちゃんちでクリスマスパーティーするんだよ♪」
実現できないことを話しても仕方が無いので、クリスマスの話題を出してみた。
在原さんは、彼女と過ごすのかな…?
『そうなんだ。いいなぁ…。
俺は支店の奴らと男だらけの飲み会だよー』
「彼女も仕事なの?」
『そうだよ』
少し安心して、ベッドに横になった。
でも、もう何年もクリスマスを一緒に過ごしている彼女のことを、うらやましく思ってしまう。