fate
「は!?まじで!?
良かったじゃん!
…え、良かったの??」
在原さんとのことを一通り説明し終えると、沙耶は叫び声を上げた。
そして、缶ビールを持ったまま、何か考えている。
「沙耶……?」
何を言われるのか、ちょっと怖くなったので顔を覗き込んだ。
「在原さんは、彼女と別れないの?」
あたしが一番聞きたくて、一番聞けないことだった。
「……そんな話は、してないから分かんない」
白菜をつかんでいた箸を置いて黙ると、テレビの芸人の声だけが響いていた。
沙耶は言葉を探しているみたいだった。
「はるかは今、浮気相手ってことだよね?
それでもいいの?」
よくないよ。分かってるよ。
でも好きって言われたいよ。
抱きしめてほしいよ。
「今は幸せだから、それでいい。
彼女には悪いと思うけど、だって在原さんが好きなんだもん……」