fate

「は!?まじで!?

良かったじゃん!
…え、良かったの??」


在原さんとのことを一通り説明し終えると、沙耶は叫び声を上げた。
そして、缶ビールを持ったまま、何か考えている。


「沙耶……?」

何を言われるのか、ちょっと怖くなったので顔を覗き込んだ。



「在原さんは、彼女と別れないの?」



あたしが一番聞きたくて、一番聞けないことだった。




「……そんな話は、してないから分かんない」


白菜をつかんでいた箸を置いて黙ると、テレビの芸人の声だけが響いていた。

沙耶は言葉を探しているみたいだった。



「はるかは今、浮気相手ってことだよね?

それでもいいの?」


よくないよ。分かってるよ。

でも好きって言われたいよ。
抱きしめてほしいよ。


「今は幸せだから、それでいい。

彼女には悪いと思うけど、だって在原さんが好きなんだもん……」



< 111 / 186 >

この作品をシェア

pagetop