fate

涙声になっていくあたしに、沙耶が慌てて頭をなでる。

「あー、ごめんね。
あたしの言い方が悪かった…。

はるかが幸せなら、あたしは口出ししないよ。

でもやっぱ、傷つくとこは見たくないんだよ」


沙耶が気にしてくれるのが嬉しくて涙に拍車がかかる。

頭をなでてくれる在原さんの手を思い出して、余計に泣けてきた。


「……うん、ありがとう」

ぐすぐす泣くあたしにティッシュを差し出して、
沙耶はまたビールを飲み始めた。




「明日のライブ、楽しみだね」

「…うん……」


泣きながらうなずくあたしに、沙耶は優しく微笑んだ。

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