fate
「――綺麗……星みたい」
思わず沙耶と顔を見合わせてつぶやいた。
真っ暗なホールに揺れ動く、おびただしい数の携帯画面のライト。
中にはライターを灯している人もいる。
『すげーキレーだろ』
満足そうな声が、マイクを通して響く。
今まで見たことも無い光景に、感動して涙が出そうになった。
来れて良かった――。
「ヤバかったねー。
まじかなり楽しかったー!」
ホールの外は冷たい風が吹き荒れていたけど、興奮は全く冷めなかった。
「叫びすぎて喉痛いし…」
笑いながら沙耶が言った。
時間を確認しようと携帯を取り出すと、メールが何通か届いていた。
新年を祝う派手なデコメに目を通していく。
やっぱり、在原さんからは届いていなかった。