fate
新年祝賀会
「う……苦し……」
親戚のおばさんに帯を強く締められて、息が止まった。
「あら、ごめんごめん。
これぐらいでいい?」
笑いながら緩めてくれたので、どうにか楽に息ができるようになった。
「うん、これぐらいがいいかな」
「でもすごいわよねー。
会社の集まりに振袖着てくなんて。
しかもNホテルでしょう?」
あたしは他の会社のことは知らないけど、確かにちょっとやりすぎな気もする。
ホテルでビュッフェ形式のパーティーって……。
しかも女性は着物推奨。
まぁ確かに華やかだとは思うけど。
「やっぱお母さんの振袖取っておいて良かったねー。
成人式だけじゃなくて、また出番が来て嬉しいわ」
お母さんは嬉しそうに笑った。
黒地に金やオレンジの模様が入った、ちょっと珍しい柄の振袖。
あたしはお母さんとおばさんの前で、くるくる回って見せた。