fate
【じゃあ、それまで時間あるなら会いに来て(笑)】
ワガママな本音だけど、冗談っぽく文字を打つ。
会えなくても仕方ない。
今日は写真も撮れたし充分、と言い聞かせているとメールが来た。
【いいよ。
20分ぐらいで着くから、公園まで出て来れる?
あんまり長くは居られないけど…】
え、来てくれるんだ。
嬉しくなって、いそいそと準備に取り掛かる。
【ありがとう。公園で待ってるよ】
寒いけど、可愛いと言ってほしいからワンピースを着てコートを羽織る。
ブランコに座って白い息を吐き出していると、黒い車が公園の前で停まった。
駆け寄って行くとドアを開けてくれた。
「ごめん。寒かったね」
すぐに温かい腕で抱きしめてくれる。
あたしは、冷えた腕を在原さんの背中に回す。
「ううん。会えるんだったら寒さなんか平気だよ」