fate

「可愛いなぁ」

ふわふわに盛った髪に軽く触れながら、子どもをあやすように言う。


「もー、子ども扱いしないで」

頬を膨らませて言うと、

「よしよし」
と頭をなでながら、在原さんは嬉しそうに笑った。


ほんとはこんな風にじゃれ合えることが嬉しい。


いつかは、こんなこともできなくなるのかな……。



「ねぇ、あたしなんかのどこがいいの?」

ずっと不思議だったことを聞いてみたくなった。

だって、これから彼女と会うって言うのに、あたしに会いに来てくれるなんて変だよ。



「あたしなんか、とか言ったらダメだよ」

なんか、前も似たようなこと言われた気がする。


あ……沙耶か。


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