fate

「ほんとに?」

在原さんの左手が、頬に触れる。

めちゃくちゃ熱いのがバレてしまう。


「うん……。
でも、彼女いるって知って、諦めようと思ってたのに。

――在原さんが、意地悪して期待させるからだよ?」

笑いながら、わき腹に軽くパンチを入れる。
真顔でこんなことは言えない。



「ごめん。

だって、可愛いからいじめたくなる」

顔が近づいてくる。
ゆっくり目を閉じると、唇が触れる。


呼吸が、苦しい。

「あー、連れて帰りたい……」

連れてってよ。
あたしを全部あげるから。




だから、


あたしだけの在原さんになって。

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