fate

どうにかKインターを降りて、近くにあったゲームセンターに車を停めた。

【着いたよー。
今、ゲーセンの駐車場にいます】

【分かった。
これから行くから、ちょっと待ってて】


メールを確認してから、ビューラーで睫を上げる。
グロスも丁寧に塗り直す。

雨はしとしと降り続いていて、フロントガラスを滴が滑っていく。


10分ぐらい経って、現れた在原さんの車に乗り込む。


「死ぬかと思ったよぉー」
泣き真似をしながら抱きつくと、少し雨に濡れた髪をなでてくれる。

「無事に来てくれてよかった…。
霧出てたよね。
ごめんね、こんな危ないときに」


あたしが行くって言い出したのに、相変わらず優しいな。

「とりあえずどっか避難しよう。
支店長とか何人か、この先の焼肉屋に居るらしいから……」

やっぱり、バレたら大変だからね。


分かってるけど。


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