fate

ガレージに車を停めて、古びた階段を手をつないで上がって行く。


ブーツを脱いで、ベッドに飛び乗った。

数回飛び跳ねてみて、思ったよりも軋むことに驚きながら、慌ててしゃがみ込む。


「何してんの」

在原さんはそんなあたしの姿を見て、楽しそうに笑いながら腕時計を外している。

「……キーケース」

「ん?」


あたしがつぶやいた言葉は、聞こえなかったみたいだ。
すぐに笑顔を作って答える。

「ううん、なんでもない」


それは、ただの嫉妬。
サイドテーブルに置かれたキーケースが、ヴィトンの白いダミエに変わっていた。

この前会ったときには気づかなかったけど、
多分、彼女からのクリスマスプレゼントなんだろう。


< 131 / 186 >

この作品をシェア

pagetop