fate
「どっか遠くに行きたいなぁー…。
はるかちゃん、行きたいとこある?」
うん、バリ島。
そこまで嫌味なことは言えないか。
「在原さんと行けるんだったら、どこでもいいよ」
裸のままシーツにくるまって手と手を絡ませながら、指にキスしていく。
ほんとに、どこでもいい。
「…手つないで、外歩きたい」
「うん…」
天井を見上げたまま呟くと、静かに答えてくれる。
でもできないでしょ?
悲しいけど、これが現実。
「いつまで続けられるのかな?」
努めて明るい声を出しながら、在原さんのほうを向く。
「はるかちゃんに彼氏ができるまでかな?」
微笑みながら、優しく髪をなでる。
なんでそんなに、酷いこと言えるの?
在原さん以外に、男なんかいらないよ。