fate

「ずっとできないかも知れないよ?

そしたら、どうなるの?」

肩が冷えてきたので、シーツを引っ張り上げる。
すると在原さんは、あたしの肩を温めるように手を添える。

「どうしてほしい?」




「無理だと思うけど、


――彼女と結婚しないでほしい……」

涙をぐっとこらえて、笑顔で訴える。

冗談でもいいから、うんって言ってほしい。





「……」




わずかな期待は打ち砕かれ、

在原さんは何も言わないまま、あたしを抱きしめた。



目の奥が熱い。

けど、泣いちゃダメだ…。

「そういう運命なんだね……」


身を預けたまま静かに目を閉じると、雨音がますます大きくなった。

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