fate
「お疲れ~」
ダンボールの陰から在原さんが出て来た。
「何してんの?
びっくりした――」
抱き寄せられると、
ひんやりしたスーツの感触に驚かされる。
「ここ寒かったでしょ?
本社来るなら先に言っといてくれればいいのに……」
「うん?
驚かせたかったから」
またいたずらっ子みたいに笑っている。
ドキドキさせられてばっかりで。
くっついたまま、こそこそ話す。
「もし今、誰か入ってきたら、
大事件だね」
「そうだね」
見つかったら、どうなるんだろう……。
「どした?会えたの嬉しくなかった?」
無意識に、不安げな顔をしてしまったみたい。
慌てて笑顔を作り直す。
「なんで!?めちゃくちゃ嬉しいよ」