fate

「なら良かった」


「うん」


微笑みながらキスをしてくれる。

空気は冷たいけど、顔が熱い。


「じゃ、戻るね」

「……やだ」


腰に回した腕を離したくなくて、
しばらくそのまま固まっていた。

「はるかちゃん、
誰か来たらヤバいから」


優しく囁くその言葉に、やっとの思いで腕を離す。

「またメールするから。
仕事頑張ってね」

頭をなでてから、在原さんは倉庫を出て行った。


しばらく経ってから、席に戻る。

気持ちを落ち着かせたつもりなのに、
手が面白いぐらいに震えている。


緊張しすぎでしょ。


社内は心臓に悪い……。
この先、またこんな機会があるかどうか分からないけど。

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