fate

「……好きだよ」

何度でも聞きたいから、
あたしから言うとちゃんと答えてくれる。

『うん、好きだよ』



じゃあ彼女と別れてよ。


それは言えないから、

「嫌いにならないでね?」
と言ってみる。


『嫌いになるわけないじゃん』

ちょっと怒ったような調子の声に安心する。


今はただ、この言葉を信じていたい。



『はるかちゃん、6年前って何歳?』

突然のことに、簡単な計算さえできなくなって焦る。

「ん……14?中3かな?」


『中3かぁ…犯罪だな』

「何が?」

くすくす笑いながら聞いてしまう。

でも、分かってるよ。
彼女と付き合う前に会ってたら……ってことを言いたいんだ。



もっと早く出会っていたら。
もっと早く「好き」って言ってたら。

こんな関係にはならなかったのかな。



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