fate
「美味い。
まじありがとう。めっちゃ嬉しい」
その言葉に安心して、あたしも一口食べてみる。
甘くて、少し苦い。
あたしの気持ちを表すような味だった。
「あ、あとこれも。
遅くなってごめんね」
社員旅行と新年祝賀会の写真を渡すと、在原さんは嬉しそうにまじまじと見ていた。
写真の中のあたしは緊張した笑顔だけど、在原さんは余裕の笑顔だ。
いつだってそうだけど。
5つしか変わらないのに、あたしは子どもっぽいと感じてしまう。
「ん?どした?」
優しい右手が、あたしの頭に伸びてくる。
「あたし、子どもだなーと思って……」
「そっかなー?
よしよし」
すでに子ども扱いじゃん。
でも、こうやって頭をなでられるの好き。