fate

髪を乾かしてバスローブのまま出て行くと、
在原さんはベッドに寝転んでテレビを見ていた。

服を着て、時計もしている。


さっきまで、一緒にお風呂に入っていたのに。

急に距離を感じた。


そのまま隣に座る。


「何、そのエロい格好は?」

笑いながら体を起こして、ストレートに戻った髪に触れる。


顔が近づいたとき、テレビから聞こえた声に、
動きが止まった。


『え~?どこからが浮気だと思いますかぁ??』

画面に映っているのは、最近よくバラエティに出ているグラビアアイドル。
なんでこんなタイミングで、そんなこと言ってるの?

『浮気とか、ほんと最悪ですよねぇー。
男ってみんなそうなんですかぁ?』


バカっぽい話し方に苛立ち、テレビを消した。



「在原さん……?」

初めて見た。


こんな、

辛そうな顔。


そんな顔を、させたいわけじゃないのに。

< 155 / 186 >

この作品をシェア

pagetop