fate
「――ごめん…」
「何が?」
下を向いたまま謝られて、ほんとに意味が分からなくなった。
あたしは笑顔で聞き返したけど、何も答えてはくれない。
仕方が無いから、黙ったまま、床に落ちている服を拾って着た。
そのまま財布を持って、機械に無理矢理お金を突っ込む。
「え、ちょっと――」
「いいよ、あたしが払う」
在原さんの制止を振り切って、笑顔を作って言った。
「帰ろっか」
車に乗ってからも、在原さんは黙ったままで、難しい顔をしていた。
手もつないでくれなかった。
その現実が辛くて、何も言えなくなった。
でもほんとは、まだ帰りたくないよ。