fate
「メールしてね?」
もう、送ってくれないかもしれない。
そんな考えを消したくて、出きる限りの笑顔で言った。
「…うん」
そんな、寂しそうに笑わないでよ。
キスして、
優しく笑ってくれるんじゃないの?
またね、って言ってくれないの?
鉛のように重いドアを開けて車を降りる。
ドアを閉めるのが辛い。
冷たい空気が車内に流れ込んで行く。
また熱出させたら大変だから…。
「じゃあ、またね」
「うん……」
明らかに元気のない声を打ち消すように、ドアを閉めた。
それが、あたしと在原さんの間にある壁のように。
【今日はわざわざ来てくれてありがとう。
また明日から仕事頑張ろうね。
おやすみ】
メールは返って来なかった。