fate
祥子ちゃんが持ってきてくれたひざ掛けを借りて、
畳に横になっていると、在原さんがやって来た。
「課長には言ってきたから、もう帰って大丈夫だって。
すごい熱出てるっしょ?顔赤いし。
上田さんの車まわしてくるから、もうちょいそこで待っててな。
渡部さんがもう1台運転してってくれるから。俺はそれで一緒に戻ってくるし」
「あ、ありがとうございます…」
わざわざあたしのために、渡部さんにも動いてもらって申し訳ないな。
ちなみに、同じグループの30歳・独身男性。
って、そんなことはどうでもいいんだけど。
なんかもう、力が入らない。
薫ちゃんや里香ちゃんも、心配して見に来てくれたけど、在原さんのことで頭がいっぱい。
荷物を持って車に乗り込むと、優しい笑顔で、
「家どの辺だっけ?道案内してねー」
サイドブレーキを下ろしながら話しかけてくる。
在原さんがあたしの車を運転してるなんて変な感じ。