fate

分かりきっているけど、電話をかけてみた。


『現在使われておりません――』

アナウンスだけが虚しく響いて、耳が痛くなった。



「あ、石本さん…。
在原さんて携帯変えたんですか?」

タイミングよく、下のフロアから上がってきた石本さんに声をかける。


「え?変わってた?
俺には連絡来てないよ」

そう言いながら、ポケットから取り出した携帯のボタンを押して耳に当てた。


祈るような目でその姿を見つめていたけど、現実は残酷だった。

「あーほんとだ、この番号使われてないって」

「そう…ですか」


「俺も、いきなり辞めるってことにびっくりしてんだよ。
しかも本人からは何も聞いてないし…」


なんで勝手にいなくなるの?

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