fate

家に帰ると、電気も暖房もつけずにベッドに座った。


どうすればいいんだろう。

涙も出てこない。



真っ暗な中、テーブルに置いていた携帯が光りながら、ガガガガと震えた。


「もしもし…」

『あ、お疲れー。
あたし来週ちょっと帰るんだけど、暇だったら遊ぼうよ。

てか、もう4月からはそっちで仕事だから実家戻るよ~♪』


なんでこんな素敵なタイミングに電話してくれるの?

「沙耶ぁ~……」

沙耶の元気な声を聞いた途端に、涙が溢れてきた。


『え、どうしたの?
もしかして泣いてる――?』


「うぅー……」


子どもみたいに泣きじゃくるあたしに、沙耶は優しく話しかける。

『何かあったの?
あたしでよかったら聞くよ?』


沙耶にしか話せないよ。




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