fate

嗚咽で言葉に詰まりながら話していても、
沙耶はうんうん、と優しく聞いてくれる。


「こんなに好きなのに…

どぉすれば…いいの……っ?」

涙で濡れた頬が、どんどん冷たくなっていく。



『――辛いと思うけど…。

めちゃくちゃズルいし、ムカつくけど。

それが在原さんの終わらせ方なんじゃないかな…』


終わらせ方?

終わり?

終わりなの?


「やだぁ……」

認めたくない現実が、目の前に現れる。


なんでこんなことになったの?



ベランダに出て空を見上げると、嫌味かと思うほど綺麗な三日月。

凛とした空気が、ますます体を冷やしていく。


< 163 / 186 >

この作品をシェア

pagetop