fate

『はるか…。

ごめんね、何も気の利いたこと言ってあげらんない……』


「ううん…大丈夫……」


強がってみても、相変わらず涙は流れ続けている。

『辛かったら、いつでも電話してきてね』

「うん、ありがと…」




電話を切ってからも、携帯を手にしたままベランダにうずくまっていた。


もう繋がらないから、アドレス帳から削除しないと…。

保護メールはどうしよう。


【何してる?】

社員旅行のあの日のことが蘇る。


【ほんと可愛いし優しいよね。
上田ちゃんと付き合うやつがうらやましいわ】

彼女のことが、ずっとうらやましかった。


【バレバレか…。

でも癒されたい。


好きだから】


なんで。
なんでそんなこと言ったの?



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