fate

もう、終わりなんだね。



「でも俺、上田さんぐらいの背の子が好きー」

その言葉で、あたしの気持ちは動き出した。
在原さんもそう思ってくれてたんだよね。


「可愛い。好きだよ」

何度でも囁いてほしかった。

もう一度、あったかい手で頭なでてほしいよ。



「だって、可愛いからいじめたくなる」

いたずらっ子のような笑顔も。
余裕の表情も。

熱い体も。
優しく触れる指先も。
乱れていく息も。

いつも差し出してくれていた左手も。



全てが想い出になってしまうんだね。

全部、あたしだけが見た夢だったのかな?



【全ての業は俺が背負うから。
少しの間だけでも好きでいてほしい】

1人で背負って行かないでよ。
あたしと2人で分けてほしかった。

これからもずっと好きなんだよ?



在原さんのことでこんなにも泣いているのに、
もう側にいてくれることはないんだ…。


< 165 / 186 >

この作品をシェア

pagetop