fate
2人で反対側から食べ進めたケーキが無くなると、
久しぶりにお腹がいっぱいになった。
ふう、と息をつくあたしに沙耶が笑顔で提案してくる。
「ね、ドライブでも行かない?」
「えー沙耶が運転してくれるんならいいよ」
あたしは助手席に乗り、車は出発した。
在原さんは左手を差し出してくれてたな…。
「どこ行くのー?」
「さあ、夜景でも見に行く?」
在原さんのと同じ黒い車を見かけるたびに、心臓が跳ねた。
でも全部、在原さんの車とは違う。
車は知らない間に山道を登って行き、ひらけた展望台に着いた。
「お~綺麗じゃん♪」
スキップしそうな勢いで、沙耶が車を降りて行く。
「ほんとだ、綺麗だねー…」
こんな田舎でも、夜景が綺麗に見えるんだ。
「カウントダウンライブ思い出すね」
あたしが呟いた言葉に、沙耶はニッと笑って、
「やっぱりー?」
と嬉しそうに言った。