fate

空は曇っていて、月も星も見えないけど、
街の灯かりがキラキラ輝いている。



「――まだあたしたち21だよ?
これから運命の男が現れるんだよ」

「はは…だといいけど」

あたしが苦笑していると、
「絶対現れるの!」

ムキになって膨れる沙耶が可愛かった。


運命の相手って、どこにいるんだろう。

在原さんがよかったな……。




車に戻ると、沙耶がバッグの中からラッピングされた何かを取り出した。

開けてみるとライブDVDだった。

「前のツアーのやつだけど。
寂しくなったらこれ見てテンション上げて」

「まじで~?ありがとう」


沙耶には、ほんと感謝してもしきれない。

あたしも沙耶が辛いときには支えてあげたいな。



頼りないだろうけど。

< 169 / 186 >

この作品をシェア

pagetop