fate
空は曇っていて、月も星も見えないけど、
街の灯かりがキラキラ輝いている。
「――まだあたしたち21だよ?
これから運命の男が現れるんだよ」
「はは…だといいけど」
あたしが苦笑していると、
「絶対現れるの!」
ムキになって膨れる沙耶が可愛かった。
運命の相手って、どこにいるんだろう。
在原さんがよかったな……。
車に戻ると、沙耶がバッグの中からラッピングされた何かを取り出した。
開けてみるとライブDVDだった。
「前のツアーのやつだけど。
寂しくなったらこれ見てテンション上げて」
「まじで~?ありがとう」
沙耶には、ほんと感謝してもしきれない。
あたしも沙耶が辛いときには支えてあげたいな。
頼りないだろうけど。