fate

もやもやした気分のまま、季節はいつの間にか夏に変わっていた。


沙耶がくれたDVDをつけっ放しにしてウトウトしていると、
携帯が大声で歌いだした。


眠りを邪魔されたことに苛立ちながら携帯を開いて見ると、
知らない番号が表示されている。

どうせ間違い電話だろうと思って放っておいても、しつこくラップを歌い続ける携帯に更に苛立ち、
ボタンを押した。


「…もしもし?」

思いっきり不機嫌な声を出したのに、相手は少しも怯まず、

『――久しぶり』
と言った。




幻聴?

いや。この声を、忘れるわけがない。


何も言えずにいるあたしに構わず、相手は続けた。

『今日は、星が綺麗だよ』

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