fate
導かれるようにベランダに出て見ると、確かに綺麗な星空が広がっていた。
天の川まで見えそうなほどに。
「は、何……してんの?」
家の前に黒い車が停まっていて、その隣に在原さんが立っていた。
『今から出られる?』
懐かしいその人は、あたしの質問には答えず、
こっちを見上げながら言った。
拒否できないことを知ってるんでしょ?
部屋着を脱ぎ捨てて、洗い立てのTシャツに袖を通す。
もっとドキドキするはずなのに。
心臓は驚くほど冷静に鼓動を刻んでいた。
あの頃と同じように、中からドアを開けてくれた。
その行動と懐かしい匂いに、少し心臓が反応する。
気づかれないように、浅く深呼吸をしながら、
ベンチシートに座った。