fate
結婚式場の前を通り過ぎ、初めて抱きしめられたあの海岸に着いた。
窓を開けてからエンジンが切られたので、
ナビの画面は真っ暗になった。
仕方なく自分の膝に視線を落とす。
漂ってくる潮の香りは嫌いじゃないのに、息苦しさを感じてシートベルトを外した。
小さくため息をついたのに気づかれたらどうしよう。
そう言えば、7月も終わりが近いと言うのに
体が小刻みに震えている。
放っておかれた怒りなのか、また会えた喜びなのか――。
それさえも分からないほど、混乱していた。
2人とも黙ったまま、しばらく時間が過ぎた。