fate
波の音しか聞こえない。
永遠に続くかと思われた沈黙を、先に破ったのはあたしだった。
「なんで……」
「ん?」
在原さんが顔を覗き込んでくる。
変わらない、あの優しい笑顔で。
「いきなり居なくなって、またいきなり現れるなんてズルいよ……。
あたし、どうすればいいの…!?」
初めて、在原さんにこんな強い口調で迫った。
最後のほうは叫び声にも似ていた。
声が裏返りそうになったし、それほど感情が高ぶっていたんだろう。
一息に言ったあと苦しくなって、ついに涙が溢れてきた。
在原さんの顔がどんどんぼやけていく。