fate

再び静かになった車内に、ロケット花火の音が響いてきた。

少し離れた場所で、誰か花火を始めたらしい。



「――ごめん…俺、はるかちゃんに甘えすぎてた。

仕事は、前から辞めようと思ってたんだ。
ツレが会社始めて、一緒にやらないかって誘われてて…。

彼女とは、そのことでも時々揉めたりしてた。

……元々、向こうから告白されて付き合って…気付いたら5年も6年も経ってて。

自然に“結婚”って話が出てきて……」


その単語にますます涙が止まらなくなる。

そんな報告のためにわざわざ来たの?


涙のせいで表情がよく見えないけど、多分、辛そうな顔をしてる。



手のひらに爪を立てて握り締めた。



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