fate
拭うことさえしないで涙を流し続けるあたしに、
在原さんは話し続けた。
「でも俺は…
はるかちゃんと出会って、はるかちゃんのことを好きになってた。
中途半端なことして、傷つけてごめん……」
違う。
謝ってほしいわけじゃないのに。
声が出てこなくて、首を激しく横に振ることしか出来なかった。
「俺は意志が弱いから、ああでもしないと傷つけ続けてしまうと思ったんだ…」
こんな話をしているのに、
外からは男女のはしゃぎ声が響いてくる。
そのミスマッチさに、少しだけ落ち着きを取り戻してきた。
「ほんとに酷いことしたと思ってる…。
恨まれても仕方がない」
恨んだりしてないよ。
そう言いたいのに、言葉が喉に張り付いてしまったかのように、
発することができない。