fate
困惑した表情のあたしに対して、
在原さんは真剣な表情で言った。
「――別れたよ」
「え……?」
予想外の展開に、心臓が暴れ出す。
「会社辞めるときに、全部終わらせるつもりだったんだ……。
だけどはるかちゃんのことは忘れられなかった……」
一定の間隔をおいて打ち上げ花火の音が聞こえてくる。
「待たせてごめん…」
何を言うべきか分からなくて、顔を見つめたまま黙っていると、
薬指の先に金属が触れるのを感じた。
「…やだ……」
呟いた声に、在原さんは一瞬驚いた表情で動きを止め、
手を離してから、また寂しそうな笑顔になった。
「そっか…今更だよな……。
ごめん…」