fate

ビールは苦いから得意じゃないけど…。
せっかくだから飲もう。


「はるかちゃん、もっと寄って!
写真撮るよ~」

ぼんやり辺りを見回していたら、薫ちゃんの声で現実に引き戻された。

いつの間にか写真撮影会みたいになっていて、周りの人たちとギャーギャー言いながら撮りまくっていた。



「俺も撮って~」

瞬間、体の左側に全部血液が寄っちゃったんじゃないかっていうぐらい熱くなった。


「はい、撮るよ~」
あたしのデジカメのフラッシュが焚かれた。



「在原さん、顔近すぎ!
びっくりするじゃないですか~」

「あ、そうだった?
ごめんごめん」

なんか恥ずかしくて顔が見れなくて、デジカメのディスプレイを見つめた。
薫ちゃんとスリーショットだけど、充分すぎる。

旅行の思い出。

< 40 / 186 >

この作品をシェア

pagetop