fate

【同じ部屋の石本が遊びに行ってしまって。

上田ちゃんが来てくれたらなぁ~】



携帯を落としそうになって、慌てて両手で持ち直す。


「どうかした?」

挙動不審なあたしを見かねて、祥子ちゃんが声をかけてきた。


「え?ううん、何でもないよ。

ちょっと…向こうの部屋で電話してくるね」
カードキーと携帯だけ持って立ち上がる。


「誰?もしかして男ぉ~?」
絡みモードの里香ちゃんを無視して、廊下に出た。



深呼吸して、在原さんの番号を表示する。

そして初めて、発信ボタンを押した。


< 46 / 186 >

この作品をシェア

pagetop