fate
教えられた部屋のドアの前まで来た。
さて、どうしよう……。
体全部が心臓になったのかと錯覚するほど、速い鼓動が大きく響く。
物凄く重く感じる腕を上げて、どうにかドアをノックした。
「お、やった。浴衣だ」
ドアを開けるなり笑顔で言われた。
「え?」
「結構飲んだ?
顔すごい赤いけど大丈夫?」
「いや、そんなには…」
「まぁそっち座りなよ。
チューハイのがいい?」
突っ立っているあたしに向かって、矢継ぎ早に話しかけてくる。
なんか、いつもと様子が違う。
在原さん、結構酔ってる?
なんだか分からないテンションで、ベッドに座った。
ベッドはまずかったかな、と思ったけど、
今更立てないので、そのまま缶チューハイで乾杯。