fate
左手にはさっきと変わらず、シルバーの光。
なるべくそこを見ないように飲み続けた。
緊張しすぎて、何を喋っているのかもよく分からない。
小さい音量でもテレビがついてて良かった。
しーんとしてしまったら、いたたまれない気持ちになるから。
「そういえば、石本さんどこ行ったんですか?」
「さあ。キャバクラにでも行ったんじゃないかな?」
「そうなんですか・・・。
在原さんは行かないんですか?」
また選択肢を間違えた。
「彼女にバレたら大変だからねー・・・」
あーやっぱり。
なんでこう、墓穴掘ってしまうんだろう。
「キャバクラより、あたしと2人で飲んでるほうがヤバいんじゃないですかー?」
なるべく、冗談に聞こえるように声のトーンを上げてみたけど。
在原さんは何も答えない。
なんかダメなこと言ったかな、と視線を手元に落としたとき。
「いいよ。バレても」
「え?」