fate
この辺りの祭りは、地区ごとに神輿や山車が出る。
担ぐのは男が中心。
だけど、たまに女の子も参加している地区もある。
「夜の港通りは行く~?」
「行くに決まってるじゃん!」
「あ、はいー」
沙耶の気合に、押され気味のあたし。
普段は、夜ともなれば真っ暗な通りが、賑やかで明るくなる。
派手な衣装に法被を着た人たちが、声を上げながら山車を担いでいく。
山車に着けられた提灯の明かり。笛と鐘の音。
「おおー。綺麗ーーー。
しかもイケメンがいっぱーい♪」
目を爛々と輝かせる沙耶。
対照的に、あたしは冷静だった。
「ダメだよ沙耶。
イベント事のときは、そうでもない奴がイケメンに見えちゃうんだから」
「あー…ゲレンデマジック的な?」
「あたし、ゲレンデ行ったことないから分かんないんだけど…」
そう言いながらも、やっぱ男前がいっぱい居るように見える。
あ、あの人カッコイイ。
ん?こっちに笑いかけてくる。
「在原さん!?」
「え、どこ?」