fate
「でも、ちょっとしか見られなかったんで・・・。
写真ください!」
あ、今の発言ヤバかったかも。
つい本音が出てしまったけど、ひかれたらどうしよう。
「写真?あー、俺の手元にはないんだよね。
彼女がカメラ持ってるから。ごめんね」
また彼女ですか。
もう、ほんと嫌になる。
不機嫌な顔にならないように、口の端をどうにか持ち上げる。
「そっかー。
じゃあ、写真は無理ですねー」
「何楽しそうに喋ってんのー?」
里香ちゃんが通りかかった。
「ん?祭りの話ー」
「あー、行ってたんだ。
在原さん、かっしーから聞いたんですけど…」
里香ちゃんの声が小さくなっていく。
あたしは自然と身を乗り出した。