fate

その会えない期間に、心にも距離ができたりしないかな。

なんて、ずるい気持ちがあたしの中に芽生えてしまう。

やっぱりあたしは、諦められない。


でも、彼女から奪うなんてできないし…。

じゃあ、どうすればいいの。



「もしあたしが…」

「ん?」

好きって言ったらどうしますか、
と思ったことを口に出しそうになっていた。




「…なんでもないです」
急に恥ずかしくなって、下を向いた。

「あー…上田ちゃんに毎日会えなくなるのは辛いなぁ…」

「またそんなこと言ってー。
おだてても何も出ませんよ」


――…分かった。
在原さんが、そんな風にからかってくるのなら、

あたしもそのノリで返す。


だって、そのほうが楽しいよね?

いちいち、上がったり落ちたりしてたら疲れるし。

うん。

< 62 / 186 >

この作品をシェア

pagetop